免疫力を上げるには?

「近畿大学腫瘍免疫研究所 丸山医師」

健康食品を飲む必要があるのか?ないのか?の判断は?

癌の免疫の治療で現在行っている免疫の測定方法が正しくて、またそれが全てだとは思わないですが、今は便宜的にサイトカインの産生能を免疫力の指標にしています。
皆様ご存知のインターフェロンもこのサイトカインの一つです。

サイトカインの産生能が高い人
この産生能を見て免疫療法開始前からすでに免疫力のある人は、免疫低下が原因で癌が進行しているわけではないと考えられますので、その時 点で行わなければならないのは免疫を上げることではなくてそれ以外の治療法の選択が必要になると思われます。
つまり、抗癌剤や放射線療法などが必要と言えます。そういう人には、副作用が少なくて免疫を落とさないような抗癌剤治療を併用してやればいいと思います。同時に免疫に関しては、高い免疫を落とさない程度の食品なり製品の飲み方をしていけばいいと思います。
サイトカインの産生能が低い人
サイトカインの産生度が低い人に関しては、免疫賦活作用を持った食品をちょっと多めに飲んで言って免疫の指標と有効性を評価して行けばいいと思います。

癌患者さんの中には、最初から何もしてない人にサイトカインの産生能が高い人がいます。我々のところを受診される前に自分で何か食品を購入して飲んでいる方もおりますので、食品といえども本当に免疫を上げるのに役立っているかどうかを検証することも重要と考えます。

これからも色々な免疫力をアップさせるというような健康食品が発売されると思いますが、本当にその製品が免疫力上昇に効果があるのか?検証していく必要があるのかなと思います。
ですから私たちが免疫を上げる作用を確認できた製品は飲むことを薦められますが、そうではない製品については、はっきり言って分からないです。

もしかしてよくインターネットで宣伝されている中国の抗癌作用を持つ漢方薬類?も有効かも知れませんが、偽物や薬品、残留農薬や重金属などの混入が問題になっていますので、安易には使い難いでしょうね。

免疫療法で必要な免疫力を直接刺激して上げる作用のある製品が有用と思われますが、逆に免疫賦活作用が強いと今度は副作用的なものが出てくることがあります。

我々の免疫療法は自己免疫疾患(リウマチや一部の膠原病など)の患者さんに行うとむしろ症状悪化することがあります。
つまり、強制的に免疫をあげるとそのような副作用にも考慮しなくてはならないので十分に注意が必要だと思われます。

やっぱりそういう免疫を賦活するような作用は、もしかするとしたらマイルドなものの方がいいのかも知れません。しかし、マイルドなもので刺激をするということは、まずは患者さんの全身状態が良くないとダメです。

最終的に栄養状態、精神状態というのは大事な要素と言えます。

そういった意味で免疫を上げる方法っていうのは色々あるでしょうね。

私が今、患者さんの状況にあわせて治療で使っているものとしては医薬品でいうとクレスチン(PSK)、ソニフィラン(SPG)、レンチナンなどで、その他ネズミに使って効果があったβーグルカンを主成分としたキノコ製品、その他免疫に有効なサプリメントや漢方などです。

こういったβ―グルカンなどキノコ等の内服製品は、実は血中には吸収されないのです。吸収されないにもかかわらず免疫反応が出るメカニズムは、私が証明した訳ではないですが、おそらく腸粘膜に存在するレセプターでキャッチされてそのシグナルだけが血中に移行してリンパ球に伝わり、その結果リンパ球が賦活すると考えられます。

ところが医薬品にソニフィランやレンチナンというキノコ由来の注射剤があります。これらの製品は注射でβ―グルガンが直接血中の中に入ってリンパ球を刺激すると考えます。
実はリンパ球にもβーグルガンのレセプターがあることが証明されているのです。そういうことで直接刺激するのでしょうね。そういうことでシグナルだけが入るということと直接入るということであれば直接入るほうが反応は強いとは思います。

免疫賦活製品を内服するということは、あらゆる条件に左右される可能性が大きいために全身状態が良好であるということは大事な要素と考えられます。

また、抗癌剤は免疫をうまく保ったままでの併用がいいと思います。

下の図1に示す通り抗癌剤は癌細胞を直接死滅させる反応を主に考えられており、患者さんへの影響(副作用)は抗癌剤が有効だったかどうか?の判断に全く関係ないとされています。さらには患者さん自身の反応が癌細胞にどういう影響を与えているかということは、全く考えられてもいないわけです。

図1

ところが免疫を上昇させる食品や医薬品は、下の図2に示す通り癌細胞に直接作用して治療効果が出るわけではなくて、患者さんの免疫を上げることにより患者さん自身の免疫担当細胞が癌細胞を抑えて初めて治療効果が出るわけです。

図2

免疫力の評価と抗腫瘍効果が同じであれば、免疫が上昇したと判断された患者さん全員に治療効果が期待できるわけですが、現在は免疫力としての指標と治療効果との評価に隔たりがあります。

つまり、免疫力があると判断されたひとの2〜3割程度にしか効果がでないわけです。免疫力があると判断されたにもかかわらず治療効果が出ていない患者さんは、活性化された免疫担当細胞が癌細胞を攻撃していないと考えられます。

そこで免疫力を低下させないで抗癌剤の併用をすることによって、少しでもここの反応が起こる可能性があるわけです。

免疫を活性化させる製品や医薬品は患者さんの免疫力を上げているのかどうかを評価した結果、治療効果を見ていかないと真実が見えてこないと思います。
つまり癌治療に対する抗癌剤と免疫食品の評価は全然違うのです。

患者さんの免疫を上げるのに重要なポイントは、使う製品の品質と患者さん自身の全身状態や精神状態の善し悪しでしょうね。

そうなると免疫力が向上するための心身の環境づくりが大切です。
気力・体力の充実があって初めて免疫システムがうまく作動し始めると思います。

漢方は、そういった患者さんの側の環境を整えて、免疫が癌細胞を攻撃しやすくしてくれたり、炎症を鎮めてくれたり、癌が進行し悪疫質による体力消耗を予防する補助の役割があると思います。

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