(雑誌 「治療」Vol.89,3月増刊号 p1230〜南山堂)

これまでキノコの抗がん作用について述べたが、果たしてキノコに発がん予防作用があるかどうか、我々はブナシメジで実験した。
通常の飼料にブナシメジ子実体乾燥粉末を5%混合した飼料を作り、その飼料で飼育するマウス(36匹)と通常の飼料で飼育するマウス(36匹)の二群にわけて、同じ条件で飼育し、飼育後1週間目にすべてのマウスの皮下に強い発癌剤であるメチルコランスレン0.5mgを注射して、発がん状況を観察した。
図1の示したように、16週頃から通常の飼料で飼育したマウスに発がんが確認されるようになり、最終的には76週間観察したところ、対照群では36匹中21匹に発がんが確認された。しかしブナシメジ含有飼料で飼育したマウスは36匹中3匹しか発がんしなかった1)。
この発がん予防の作用機序は免疫賦活作用によると考えられるが、我々はブナシメジの摂取で血漿中に抗酸化タンパク質が増加すること、またその摂取は血中の過酸化脂質を低下させる傾向があることなどを見出している。さらに岡山大学医学部の研究グループは、前述の食用キノコについてラジカル捕捉活性があることを解明しているので、キノコの発がん抑制作用は免疫賦活作用のみならず、その抗酸化作用も関与しているものと考えられる1,8,9)。
